自然史の物語に満ちた神戸川

神戸川（かんどがわ）は、島根県中部の飯南町から出雲市までを南北に流れ、県内では最大の流域を持つ一級水系斐伊川の一次支川。

長さ約82キロの大河は、広島県境の女亀 (めんがめ) 山に源を発して北流し、広い出雲平野をゆったりと流れ、やがて稲佐の浜で日本海に注ぐ。出雲平野に豊富な水を供給しており、アユ釣りの名所としても有名。

また、出雲市乙立町にある立久恵峡は県立自然公園に指定された景観を誇っている。「山陰の耶馬渓 (やばけい) 」ともいわれ、この川が生んだ景勝地だ。

山間渓谷の様相を呈する中流部は、急峻な地形と清流の創り出す渓谷景観の美しい区間であり、清流を好むカジカガエルやオオサンショウウオ等も生息している。

『出雲国風土記』には神門川（かむどのがわ）という名で記されており、かつては神西湖に注いでいたが永禄年間 (1558～70) 以後、現在の流路となった。